最高と最悪と無意識さん
そうだね。今君に告げたこと
君にとってその状況は最悪で、とんでもない程の焦燥感と根拠のない苛立ちが絶え間なく降りかかる状況は、とても受け入れることができない程苦悩に満ちたものであってもね、実はそれが最適であり、それ以外の選択肢などありえないということ。
そんなことを君に告げた時、君はとてもショックを受けて、まったく受け入れられないと、もうこれ以上の苦しみなんてこりごりだと、そんな風に思ったんだね。
だけどね、僕は君に本当に最悪なことを想像することができるよねと言ったんだね。
そしたらね、君は僕の伝えたいことを理解したんだね。
そして、たった今まで感じていた焦燥感といら立ちが、瞬く間に消えてしまったことに、君はあっけにとられるしかなかったんだね。
あれっと。
これは一体どういうことなんだと。
もちろんね、僕が最適といったことに君が感じていた焦燥感といら立ちは含まれていないよ。
そういった付属物はのことではなく、今の君の状況というものだけについて話しているわけなんだね。
そう、一見すると良いことなど一つもないと思える、今の君の状況だけど、実のところ、そのほかの最悪な選択肢が数えきれない程あって、そして、君が納得するかどうかは別として、君にとっての最善が選ばれて、今の君の状況を形作っているということ。
もっと快適で、人がうらやむような状況になるということがなぜ起きないのかと、そんな風に君は思っていたわけだけれど、どうやら今の状況が最適であるようだと。
今の苦しみを感じながら、そんな風に思うことは、とても難しいことであるはずなのに、きっと受け入れる以外にないのだろうと、いやそれこそがたぶん君にとっての最高の状態であるんだと、そんな風に感じたわけなんだね。
そこには、無意識さんの掛け値なしの愛があるんだと。
いつも、いななる時も、君を守り愛しむ無意識さんの存在があるということ。
その感覚を受け取ることで、君のささくれだった気持ちは穏やかさを取り戻すことができるのだと。
それにしても、無意識さんが導き出す道はあいかわらず理解の及ぶものではないということを、再確認することになったんだと。
そして、そんな風に思うことができるということも、なぜそうなったのかは分からないんだと。
ただ、それでしかないということだけが、君の中に揺るぎようのない確信としてもたらされた。
それだけのことなんだと。
君はそれを説明することもできないし、納得したあとでさえも、どうしてそうなったのかは分からないままで。