不快な関係と無意識さん
この間は大変だったね。本当に
でも、まあ、そのおかげで色々と変化があったんだね
それでね、昨日僕が君に伝えたことについて話したいんというわけだね
そうなんだ、君は夫との関係において、このところ新たな局面を迎えていると感じているわけなんだね
それは、単純に良い方向に向かっているというものではないから、君としては本当に激しい嵐に巻き込まれ、そしてその嵐が過ぎ去った後には、何やらこれまでとは少しだけ違った景色が現れる
そんなことの繰り返しというわけなんだね
そして、君はまた夫について考えを巡らせていたんだ
君が夫に対して抱く不快な感情の正体は一体何なのだろうと
もちろん夫はアスペルガーという特性を持っているわけだけれど、君としてはどうやらそれとは別の何かが潜んでいるような、そんな感覚が最近になってしてきたというわけなんだね
そして、君は僕に答えを求めたんだね
僕は君に答えたんだ
それは君の母親であると
だけど、君は僕の答えを素直に受け取ることが難しいと、いや、難しいというよりは、ピンとこないんだと
そんな風に思ったんだね
なぜなら、君はずっと、夫の中に父親の姿を見ていると思い込んでいたからなんだね
嫌いだった父親の姿を夫の中に見てしまったせいで、夫のことを怖れたり不快に思ったりしてしまうんだと思っていたんだね
だけど、その正体は父親ではなく母親であると
いや、そう言われても、やっぱり自分がいつも夫に重ねるのは父親だったと
君はそんな風に自分の中の記憶を辿ったんだね
だけど、それはまやかしなんだと
父親の陰にはしっかりと母親がいたんだと
そして、母親こそが君が怖れ不快に思っていた存在なんだと
そんなことを僕から聞かされて、それでも君はまだよく分からないんだと
もちろん大人になってからというもの、実は子供の頃から母親自身のことを怖れ不快に思っていたことを君はしっかりと自覚したわけなんだね
そして、今では母親によって与えられたトラウマの治療にも取り組める様になったんだね
だから、君にとって母親との関係というものは不快なものでしかなかったわけなんだね
だけど、その不快感というものは、その関係性において発生したものなんだと、今なら思えるんだね
だからこそ、夫の中に母親の存在を、その関係性の不快感を見ているということが、どうにも信じられないというわけなんだね
ただ、僕の言葉はそのまま受け取るつもりではあると
そのくらいには僕のことを信じているんだと
それは君にとって怪我の功名というか、まあ、救いであると、そう思っているんだね
そして、もうひとつ、君は僕に尋ねたんだね
なぜ、こんな風に揺れ動くんだと
もしこれが救いに繋がる道ならば、なぜ一足飛びに楽になって行かないのかと
そして、僕はこう答えたんだね
地球を見てごらんと
地球の温暖化ということが言われているけれど、その進み方というものも一足飛びではないんだと
猛暑であったり、冷夏であったり、暖冬であったり寒冬であったりを行ったり来たりしながら、段々と進んでいくものなんだ
地球も生命であり、君も生命であって、どちらも揺らぎながら、その生を全うするんだと
僕は少し小難しい言い方でもって君に伝えたんだね
君は僕の言葉を聞いて、その意味においては納得したものの、それでもやっぱり苦しいものは苦しいんだと
だから、やっぱり早く楽になりたいと思ったんだね
それは素直な気持ちで、そう思ってしまうのは仕方のないことだと、僕は君に伝えたんだね