「支配とは何か?」無意識さんに聞いてみた
支配とは一体何かという問いに、僕は、それは血肉だと
そう答えたんだね
それは血肉であると
血で血を洗う、骨肉の争いであると
それを聞いた君は、それは的外れな答えだと
そんな風に思ったんだね
そして、支配というものの仕組みについて尋ねているんだと
人間同志の生態について聞いているんじゃないと
そんな風に思ったわけなんだね
だけど僕はそれはあくまで血肉であると
そう伝えたんだね
そして、それと同時にそれは息をする様に自然に行われるものであると
そうとも言ったんだね
ならば、支配とは結局生き物としての性なのかと
そんな単純なものなのかと
君は、がっかりして、無意識さんに対して抱いていた大きな期待が小さくしぼんでいく様な気がしたんだね
もしかしたら、自分と無意識さんの繋がりは、大嶋先生と無意識さんの繋がりの様に強固なものじゃないから、ちゃんとした答えが返ってこないのかなと
まあ、それならそれで仕方のない事だと
そんな風にも思ったんだね
だけど、そこからもその血肉という言葉が君の中に居座り続けたんだね
そしてお話の続きを始めたんだね
それは、こんなお話だった
それは家というもの家族というものと切っても切り離せないものなのだと
そして、それを構成している人々とのお話でもあるんだと
ある人がある家で生まれて育ち、そしてそこを巣立つまでの間、限りなく近い距離でそしてとてつもなく長い時間を限られた人と過ごすことになるわけなんだね
そんなことは当たり前すぎて、誰もそのことを不思議に思わないし、だからこそそれを観察したり、検討したりすることなどないわけなんだね
だけど、その家での長い触れ合いの一瞬一瞬で、子というのは彼らを育てる親たちから、親自身が生まれた家で受け取った全てを刻み込まれるんだね
それは言葉だけでなく、それこそありとあらゆるものを使って行われるんだ
それは表情であったり、呼吸であったり、触れる強さだったり、間合いであったり
そして言葉にしないけれど、親たち自身ですら気づいていないもの
それは、確実に彼らの中に息づいているもの
彼らがどんな風に育てられ、そしてどんな役割を受け持っているかということ
そして、その役割に従って、彼らは子に接するというわけなんだね
それが彼らの生きる術であり、個としての彼らを守るものであるというわけなんだね
家族だと、親子だと、いくら言ったとしても、生き物としての個が、個としての命が、全てに勝るというわけなんだね
だからこそ、全ては生きるためなんだと
個が生き延びるためなのだと
だけど、そんな話を聞いた君は
それじゃあ、全ては決まり切ったことで、諦めるしかないのかと
そんな夢も希望もない話なのかと
とてもがっかりしたわけなんだね
だけど、それは自由だと
もし変えられる可能性があるのなら、君は君として、思うままにやればいいのだと
僕はそう伝えたんだね
放っておけば、そういった血肉の支配が脈々と、君の親から君へ、そして君から君の子へと
代わり映えのしないループを描きながら続いていくんだね
だけど、それはどうあがいてもそれを変えることができなかったからかもしれないし、変えるということすら誰も考えなかったからかもしれない
だけど、君はそれがとても不快であるし、出来ることなら変えたいとそう思ったわけなんだね
そして、ありとあらゆる方法を試し、そして失敗し、そしてやっと大嶋先生に巡り合えたというわけなんだね
だから、いいじゃないかと僕は言いたいんだ
今からだっていいじゃないかと
大嶋先生のお話を聞いて、君と同じように不快を感じている沢山の人が投げかける言葉を聞いて、そしてさらに君の気づきが加速しているような
そんな気がしているんだね
それは本当に素晴らしいことだと、僕は思うんだよ