才能と幻想と無意識さん
才能というものについて考えたんだね
それというのも、君はとてもお気に入りのアーティストがいるんだと
そして、友人から聞いた例の友人の子供も芸術家になったんだと
そして、そういった芸術家というものはどういうものなのかと
そういうこいとについて考えさせられることになったんだね
なぜなら、なぜだか彼らのことを考えていなければならないような、彼らに注目しなければいけないような、そんな感覚に陥ったからなんだね
そして僕は君に言ったんだね
彼らは人一倍自分の素晴らしさを認めて欲しい人なんだと
ただそれだけなんだと
だけど、君は彼らはすごいものをもっているじゃないかと思ったんだね
人より秀でている何かを持っているじゃないかと
確かに人とは違う何かをもっているのかもしれないね
だけどね、それが随分と人からかけ離れているからこそ、そんな自分を認めて欲しいんだと
それを人一倍強く持っているというわけなんだね
だけど君は、君のお気に入りのアーティストはファンのことを思ってくれていると
そんな風にも思うんだね
だけどね、彼らこそが支配に強く束縛されているんだと
そしてね、確かにファンを必要としているというわけなんだね
なぜなら、自分の中ではなく自分以外の存在に自分の価値を認めて欲しいと人一倍強く思っているのだから
自分一人ではとても満足など出来ない
自分以外の人に、ひとりでも多くの人に認めてもらうことを強く強く願っているのだから
もちろん、それが果たされた暁には、ファンと呼ばれる人たちに優しくすることもできるかもしれない
しかし、それは優しさと呼べるのかは分からない
なぜなら、一番美味しいところは彼ら自身が持って行ってしまって、ファンに届けられるのはその残りかすだから
そうは言っても、彼が作り出す音楽はすばらしくて、それを聴ける自分たちは幸せではないのだろうか
君はそんな風に思うんだけどね
だけどね、彼がそれを作り出している時の快感というのは、君たちが受け取る快感とは比べ物にならない程絶大なものなんだよね
だからね、やっぱりどこまで行っても、それは残りかすなんだよね
ぼくのそんな言葉を聞いた君は、とてもそんなことは信じられないと
そんなはずはないんだと
とてもショックを受けたんだね
もちろんね、君が気分がいいな、という程度に彼の曲を楽しむのはいいと思うんだよ
だけどね、君の体の健康を損ねる形で一喜一憂してしまうほどそれに振り回されるのはバカバカしいと思っているんだよね
なぜなら、やっぱり彼らはどこまでいっても自分のことが一番大事なんだよね
信じたくないかもしれないけれどね
それはまあ当たり前のことなんだけどね
ファンになるとね、ついそこを見たくなくなるんだよね
ファンを一番に考えてくれているはずだと
そう思いたくなるんだよね
なぜなら、自分たちは自分を犠牲にして彼のことを思っているわけだからね
そんな彼は実はファンではなく自分のことを最優先にしているとなったら、やっぱり平気ではいられないよね
そんなわけでね、アーティストや芸術家というのは自己顕示欲の塊で、承認欲求が凄まじいというわけなんだね
それは、やっぱり人と違っているという点で余計に強くなって彼らの特性として現れるというわけなんだね
ならば、もう彼の曲を聴くべきではなのかというとそういう訳ではないんだね
なぜならその作り出された曲というのはもはや彼の存在とは別のものだからなんだね
そして、君がそれを素晴らしいと感じる時、それはきっとそこに無意識的なものを感じているというわけなんだね
だからね、それを排除してしまうということではないんだね
つまりは全ては君を中心にしてほしいというわけなんだね
音楽というのは無理やり聞かされるものではないんだね
まあ、絵画も同じだと思うけどね
芸術というと高尚なものに思えて、見させてもらってるという感じになるかもしれないけれど
見たくない聴きたくないものを見たり聴いたりしても何も楽しくないよね
だからね、いくら君が気に入っているアーティストであっても、それを聴くときにはまず君の心に問いかけて欲しいんだ
今、それを聴きたいのかと
ほんとうに今音楽は必要なのかなと
それで必要だったらそれを楽しめばいい
つまりあくまで自分本位というわけだね
もちろん流れにまかせて聴くときもあっていい
だけどね、いつかは戻ってきてほしいと思うんだよ
自分の感覚を大切にできる場所にね
そしてね、その時に必要なものならそれを聴けばいい
そうやって君が自分らしさを取り戻せるよう願っているんだよ