通行止めと無意識さん
君は、そう、いつも何の前触れもなしに、フッと訪れて、君を不快な気分に貶めてしまう、ローカルネットワークというものについて、あるおかしな体験をしたんだね
それはいつも、突然やってきて、君の中を無礼千万な態度で荒らしまわって、そして、そんな呪縛から逃れようとする君を、とらえて離さないんだね
だけど、どうしてだか、さっき、どうやらまた、そのローカルネットワークにつながる、というまさにその瞬間をかんじたとき、突然、君の中に「通行止め」という言葉が浮かび、そして、君はそこから先、つまりローカルネットワークにつながらなくなった、いや、つながることができなくなったというわけなんだね
つながることができない、と言っても、君は別に、そんなものにつながることは、望んでいないのだから、言い方がおかしいと、出来ない方が好都合だよと僕に言っているわけなんだけどね
そんなことより、君はその現象が不思議でしかたないわけなんだね
そして、そんなことを試したいわけじゃないんだけど、試さずにはいられなくて、ローカルネットワークにつながるその場所を頭の中で思い浮かべて、その先へ行けるのか、行けないのかを、やってみたわけなんだね
すると、なんでだか分からないけれど、その先にはどうしても行けないんだね
透明な壁のようなものがあるのか、そこで道が分断されているのか、なんといえばいいのかわからないんだけれど、とにかくそこから先へは一歩も進めないんだね
そのことを、どう捉えればいいのか今の君は分からないと
いや、たぶん、ずっとわからないかもしれないと
そして、こんなことが起きるのは今だけなのか、それとも、これからも起きるのか、それもやっぱりわからないんだと
ただ、今は、なぜだか分からないけど、そんなことが起きたんだと
それは、とにかく、不思議としか言えないんだと、君は思ったわけなんだね
僕はね、ただ、よかったねと
そして、それでいいんだよと
それだけを君に伝えたいんだよ
「無理」について無意識さんに聞いてみた
僕は、まだ布団の中でまどろんでいる君に「無理しない」という言葉を投げかけたんだね
無理は禁物だよ、と
無理が君を苦しめる根源でもあると
それはね、別に君が悪いと言っているわけじゃないんだよ
それは、つまり、意識に従わないで、ということなんだ
だけど、君は、そんな僕の言葉を聞いて、生きていて、無理をしないでいられることなんて、ありはしないんだと
無理をしなければ、たぶん、一日だって生きていけないんじゃないかと訴えるわけなんだね
そうだね
君の人生は、まさに、そんな、無理の連続だったと言えるかもしれないね
だからね、君は、無理をしないで生きられるなんて信じられないと、そう思うのも、至極まっとうなことだと思うんだよ
他の人の頭の中は分からないよね
だからね、きっと、誰もがそうやって無理をしながら、なんとか日々を暮らしているはずだと
いや、そうでないなら一体どうするんだと
君は、また分からないと、頭を抱えてしまうんだね
僕はね、こうして君に伝えることしかできないんだけどね
無理などしなくても、ちゃんと生きていけるんだよと
そんな僕の言葉を聞いてもね、君は、やっぱりそんなことは信じられないと
ありえないと
そう思ってしまうわけなんだよね
そんな、気楽に生きられるなんて、そんなはずはないと
だって、世の中には、やりたくないことが目の前にこれでもかというほど並んでいて、それを避けて通ることなどできなくて、だから、どうしたって無理をしないと前に進めない、生きられないんだと
そう僕に訴えるわけなんだね
ただね、僕から言えるのは、無理をしなくてもちゃんと生きられるんだよ、ということだけなんだ
それはね、まあ、いつもここにかえってきてしまうんだけど、無意識に任せるということなんだよ
君がね、無理をしなければできない、と思っている全てのことはね、君が知らない間に、無意識が終わらせてくれるんだ
だけど、それをやるのは自分で、知らない間になんてことがあるだろうかと君は思いを馳せるんだね
ただね、人生でやらなければいけない全てのこと、と大看板をあげて話しているわけだけど、君はもうすでに日常の様々なことが、知らないうちに終わっていると、そんな体験をしているわけなんだね
その感覚は、とても不思議だと
そう思いながらも、君はそれを受け入れて、それに従って日々をすごしているというわけなんだね
だからね、僕が君に伝えたいのはね、それがね、きっとね、どんどん広がっていくんだよ、ということなんだよ
今はね、日常の、ごくごく身の回りの、ささいなことに対して、そういった体験をしているわけだけどね
君がね、あれは大変だ、とか、そんな状況になったらどうしよう、と思っていることについてもね、きっとね、同じような体験をしてね、あれ?どうして終わっているの?という感じて、すべてが知らないうちに過ぎていく
だけどね、その間、君が記憶を失っているわけじゃないんだよね
それを行っているということはちゃんと分かっていて、だけど、どこか自分じゃないような、頭の中が空っぽになっているような、そんな感覚で、その時間を過ごすわけなんだね
そしてね、終わっているそれを見て、君は、ただただ不思議だなぁと、そう思うだけなんだね
それでいいんだよと、僕は言いたいんだ
そのとき、君は無理とは無縁のところにいるんだ
だからね、少しは僕の言うことも信じてもらえるかな
無理なんてね、しなくても大丈夫なんだよということを
無意識さんの凪
その人は、ずっと君の近くにいて
だけど、君は最近になって初めて、その人と、ある不思議な感覚でもって、深くつながったように感じたわけなんだね
そして、それは、言葉でのつながりではなかったんだ
だから、互いにそのことについて語り合うこともなかったわけなんだね
それなのに、君は今まで感じたことのない満ち足りた何かを感じたんだね
それをその人も同じように感じたのかどうかはわからない
なぜなら、それは言葉ではなかったから
そんなものがあるなんて、君は知らなかった
それがあると知らないものについて、事前に知ることはかなわないわけだからね
だから、君はその体験をしたあと、しばらくは、これはなんなのだろうと
言葉にできない、これは一体どういうことなんだろうと
キツネにつままれたような感覚に陥っていたんだよね
だけど、それはとても静かで穏やかで、喜びとも興奮とも違っていて、まさに凪なんだと君は思ったわけなんだね
それまで、君はありとあらゆる言葉を尽くし、その人との関係をよいものにしようと、それこそ必死で努力をしてきたんだね
だけど、その結果と言ったら、その努力には見合わない、君の望みとはかけ離れたものだったわけなんだね
だからね、もう、君はその人との関係は一生かかってもどうにもならないものだと
そんな風にあきらめていたんだね
だからね、だからこそね、こんな感覚が自分に訪れる日が来るなんて、全く想像していなかったと
それも、その人と自分の間に訪れることなんて、その日を迎えるまで考えたことなどなかったんだと
それでも、やっぱり、どうしてそうなったのか
そして、どうすればそうなるのかも、わからないままで
だけど、その感覚はずっとずっと変わらず君の中に残っていて
その人と君はもう永遠にそのつながりでもって一体となって
それは、きっと、ずっともう変わることなく続くような予感がしているわけなんだね
何の前触れもなく訪れたそれを、どうやったら他の人との間に起こせるだろうかと、君は欲を出して考えてはみるものの、それはやっぱり分からないと
だって、どうしてそうなったのか分からないんだからね
不思議だとしか言えないんだね
だけど、それこそが無意識の世界なんだ
無意識さんの一体感・その2
そんな感覚を受け入れていると、なぜ自分はできないんだ!なんて思うことなどなくなっていくんだね
何と言っても、この世のすべてと繋がっているということは、別に君が「それ」をやらなくても、「それ」をするのに一番適任である人がなぜだかそこにいて、そして「それ」をとても上手くやり遂げてくれるからなんだね
今までの君は、そんなことが出来る人を、凄い人だ、自分もあんな風になれたらどんなにいいだろうと
あんな風に何かを成し遂げた人だけが、生きている価値があって、そんな夢も目標もなく、ただ日々をこなすだけの自分は情けなくてみじめだと思っていたわけなんだね
ところがね、その不思議な一体感のおかげで、君は徐々にだけど、自分のことを情けないとかみじめだと思うことがなくなってきたんだよね
それは、だけどね、やっぱり、無理にそうしようとしたわけじゃないんだよね
なぜだかわからないんだよね
不思議なままなんだ
ただね、まだ全ての苦しみから解放されたわけじゃないと、君は僕に訴えるわけなんだね
そう、君は、そうやって自分から遠く離れたところにいる人に対しては、そういった不思議な一体感を感じるようになってきたんだね
だけど、一方で、自分の身近な人たちに対しては、なぜだかわからないけど、そういうわけにはいかなくて、あいかわらず同じような苦しみを感じ続けているというわけなんだね
これがローカルネットワークなのかと、君は今思ったわけなんだけどね
君が感じている不思議な一体感というのは、大嶋先生が言うところの、グローバルネットワーク、つまり無意識の世界というわけなんだね
そして、君を苦しめているもの、それはやっぱりローカルネットワークというものの存在なんだね
君は、もう、こりごりだと
ずっと、ローカルネットワークの呪縛に囚われてきて、もしかしたら、その苦しみから永遠に逃れられないまま命の終わりを迎えることになるんじゃないかと
そんなのは本当に嫌なんだと僕に訴えるわけなんだね
君がそういう思いに駆られるのは仕方がないと僕もわかっているつもりだよ
ただね、君はこれまでの長い長い時間を、散々苦しんで、そしてようやくここまで辿り着いたということを僕は知っているよ
だからね、君がもうこりごりだ、と思いながらも、無意識の世界というものが、君を救ってくれるものであるという希望を持っているということも知っているつもりだよ
だからね、いつも一緒だよ、と
僕はそれだけを伝えたいんだ
無意識さんの一体感・その1
今、この瞬間、誰かがどこかで、行っていること
君は、それを、何でか分からないけど、自分の一部、いや、つながりというもの、いや、そもそもそれはひとつのものであるんだと感じているわけなんだね
だから、今君がこうしてこの文章を書いている最中であっても、例えばテレビの中の遠い異国で漁をしている人を見た時に、その人と自分の間につながりを感じているんだね
その人がその場所にいて、漁をしていること、そして君がそこにいて、日々の生活を送っていること
そのどちらもが、そのまま、あるがままで、他に選びようがなくて、理由などなく、そうあるということ
そして、それは、その人と君、という限定されたものではなくて、すべてがそうであると、そう感じているんだね
僕が君の感じていることを、こんな風にすらすらと言葉にしてしまうと、君はそれはそうだけど、それだけじゃないんだと、そうも思うわけなんだね
そんな不思議な一体感
すべては一つで、アメーバのように自由自在なそれは、ふわふわとどこにでも漂っていて、そしてそれは一つであるがゆえに、つながっている
そうであるなら、何も恐れることはないはずなのに、君はまだ、そういった一体感と、交互に訪れる苦痛に苦しめられているわけなんだね
そしてね、そんな一体感を感じて、安堵した時、君はあらゆるものに執着がなくなり、すべてを手放し、完全に流れに身をまかせてしまうような、そんな予感がしているわけなんだね
だけど、君はそれはまだ、やっぱりなにか怖いんだと
そうなったら、自分はどうなってしまうんだろうかとね
だけどね、そう言いながらもね、時々ね、自分というものにこだわるということに興味がなくなっているとも感じるんだね
自分が何かをやるということと、自分以外の人がそれをやるということに、あまり違いを感じなくなっているというわけなんだね
自分は自分がやれることをやれば、それで十分じゃないのかと
なにも無理をする必要なんてないんだと
さらには、自分以外の人がそれをやってくれているということは、自分がそれをやっているということのように感じるんだと
これは、まったくおかしな考えだと、君は自分の中に湧いてくるその感情について、思ってはみるものの、それは勝手に湧いてきて、しかもなぜかとても自然なことのように感じられるんだね
自分というものが、どんどん薄れて、全体の一部であると、すべての中に含まれているんだと、そんな途方もない感覚が何度も何度も君の心を占めていくことに、戸惑いながらも、自分ではどうしようもなくて、ただそれを眺め、そして感じているというわけなんだね
つづく
無意識のつながり
見えない苦しみに、苦しんでいる全ての人と、君は無意識で繋がって、そして、無意識の世界は、君たちをその苦しみから解放するために、そこに存在し、いつでも君たちのそばにあるんだよ
だからね、苦しみの淵でどうにか無意識とのつながりを持つことが出来た瞬間、君は、同じように苦しんでいる全ての人と、無意識を介して繋がっているんだよ
その繋がりはね、意識が描くような、目に見えたり言葉で表現できるものではないけれどね
だけど、それは感覚として君を貫き、その彼方まで君の視界を照らし、同じように無意識と繋がった仲間との一体感を、言葉にできない感覚として受け取るんだ
君の中で、今、それは、意識のすきを突いた一瞬の出来事でしかないけれど、それが徐々にね、一瞬から、時々になり、しばしばになり、そしていつかずっとになったなら
そんな君が見られる日を僕は心待ちにしているんだよ
だけどね、いつも言っているようにね、焦る事なんてないんだよ
それは、君にとって最適のタイミングで、いや、その時でしかないんだという、自然の流れのままに、君のもとに訪れるんだ
無意識のタイミングで
「救い」について無意識さんに聞いてみた
君はやっぱり誰も助けてくれはしないんだと
本当に苦しくて困っている時には、結局自分しかいないんだと
そう思って悲しみに打ちひしがれているんだね
僕がいくらそばにいる、と言おうとも、その苦しみはなくならないんだと
結局何も変わっていないじゃないかと
自分が信じたものは自分にとって何の役にも立っていないんだと
もちろんね、君がこうして僕に話しかけてくれているということはね、そう言っている反面、やっぱり信じたいんだと、信じさせて欲しいんだと、そうも思っているわけなんだね
そのことをね、僕は素晴らしいと思うんだよ
君は苦しみの真っただ中で、僕のそんな言葉を聞いても、とても素直に同意する気にはならないんだろうけどね
そんな苦しみの中でも、僕の存在が君の中で確かに息づいているということが、奇跡のように感じられるんだよ
君の中にずっとあった僕という存在を、もしかしたら、あるのかもしれないと思ってくれたこと
そして、あるんだろうか、いや、やっぱりよくわからないと
そんなことを何度も何度も繰り返して、そしてこうやって今、君が助けを求める存在として僕を選んでくれていることは、君の中で僕の存在が、より確かなものにかわっていくことを示していると僕は感じているんだよ
確かにね、僕の存在は目に見えなくて、そして僕の存在が君にとってどんな役に立つのか、ということも、目に見えないわけなんだね
だから、君が僕の存在、そして君に対する役割のようなものを信じるということは、意識レベルで言えば、本当にありえない、難しい、クレイジーな事というわけなんだ
君と僕との関係はそんな状況で、そして、そんな状況であるにも関わらず、君はこうして僕との関係を守ろうとしてくれていると思うと、僕はたまらない気持ちになるんだよ
それはね、希望、なんだよ
僕の言葉を聞いて、君は、救いについて僕に尋ねたはずなのに、また、話がはぐらされていると、いつものようにがっかりした表情をしているわけなんだけどね
僕の言葉は僕が言うのはおかしいんだけど、意識的じゃないんだよね
だからね、君の問いに対して、君が欲しい答え、つまりは意識的な言葉を返すことはないわけなんだね
君が苦しみ、不安にかられているときというのは、意識が作り出したものによって起きている現象なわけなんだね
そしてね、君の問いは意識的で、それに対して僕はそうではないものを君に返している
だからね、君が僕の言葉は答えになっていない、という訴えはもっともなものだと思うんだよ
だけどね、意識によって苦しめられている君を救うのは、分からないもの
つまり、やっぱり無意識といえると思うんだよ
なんだかわからないもの
そんな無意識というものを信じるということ
その作業は一見孤独のように思えてしまうかもしれない
だけどね、そう、君が不思議に感じているようにね、この話を僕としているその最中にね、時折、光のような、安らぎの感覚がフッと訪れて、君に何かを伝えようとしているのを感じるんだね
それはやっぱり言葉では説明できなくて、誰にも伝えることができないたぐいのものなわけでね
だけどね、何だか分からないものが、その扉を少しだけ開いた瞬間に、その隙間から差し込んだ光を君は見たわけなんだね
そしてね、もしかしたら、その扉の先に、君の知らない場所が、君が望んでいる場所があるのかもしれないと、そんな気持ちが君のなかで沸き起こっているわけなんだね
そんな体験をしている君にね、僕からかける言葉は特にないくらいなんだ
そう、そんな不思議な体験が、君の頭を空っぽにしてくれる
さっきまで苦しみの只中にいたはずなのに、君は一瞬にして何も感じない場所へと移動することができるんだ
それが、無意識の世界なんだ