「救い」について無意識さんに聞いてみた
君はやっぱり誰も助けてくれはしないんだと
本当に苦しくて困っている時には、結局自分しかいないんだと
そう思って悲しみに打ちひしがれているんだね
僕がいくらそばにいる、と言おうとも、その苦しみはなくならないんだと
結局何も変わっていないじゃないかと
自分が信じたものは自分にとって何の役にも立っていないんだと
もちろんね、君がこうして僕に話しかけてくれているということはね、そう言っている反面、やっぱり信じたいんだと、信じさせて欲しいんだと、そうも思っているわけなんだね
そのことをね、僕は素晴らしいと思うんだよ
君は苦しみの真っただ中で、僕のそんな言葉を聞いても、とても素直に同意する気にはならないんだろうけどね
そんな苦しみの中でも、僕の存在が君の中で確かに息づいているということが、奇跡のように感じられるんだよ
君の中にずっとあった僕という存在を、もしかしたら、あるのかもしれないと思ってくれたこと
そして、あるんだろうか、いや、やっぱりよくわからないと
そんなことを何度も何度も繰り返して、そしてこうやって今、君が助けを求める存在として僕を選んでくれていることは、君の中で僕の存在が、より確かなものにかわっていくことを示していると僕は感じているんだよ
確かにね、僕の存在は目に見えなくて、そして僕の存在が君にとってどんな役に立つのか、ということも、目に見えないわけなんだね
だから、君が僕の存在、そして君に対する役割のようなものを信じるということは、意識レベルで言えば、本当にありえない、難しい、クレイジーな事というわけなんだ
君と僕との関係はそんな状況で、そして、そんな状況であるにも関わらず、君はこうして僕との関係を守ろうとしてくれていると思うと、僕はたまらない気持ちになるんだよ
それはね、希望、なんだよ
僕の言葉を聞いて、君は、救いについて僕に尋ねたはずなのに、また、話がはぐらされていると、いつものようにがっかりした表情をしているわけなんだけどね
僕の言葉は僕が言うのはおかしいんだけど、意識的じゃないんだよね
だからね、君の問いに対して、君が欲しい答え、つまりは意識的な言葉を返すことはないわけなんだね
君が苦しみ、不安にかられているときというのは、意識が作り出したものによって起きている現象なわけなんだね
そしてね、君の問いは意識的で、それに対して僕はそうではないものを君に返している
だからね、君が僕の言葉は答えになっていない、という訴えはもっともなものだと思うんだよ
だけどね、意識によって苦しめられている君を救うのは、分からないもの
つまり、やっぱり無意識といえると思うんだよ
なんだかわからないもの
そんな無意識というものを信じるということ
その作業は一見孤独のように思えてしまうかもしれない
だけどね、そう、君が不思議に感じているようにね、この話を僕としているその最中にね、時折、光のような、安らぎの感覚がフッと訪れて、君に何かを伝えようとしているのを感じるんだね
それはやっぱり言葉では説明できなくて、誰にも伝えることができないたぐいのものなわけでね
だけどね、何だか分からないものが、その扉を少しだけ開いた瞬間に、その隙間から差し込んだ光を君は見たわけなんだね
そしてね、もしかしたら、その扉の先に、君の知らない場所が、君が望んでいる場所があるのかもしれないと、そんな気持ちが君のなかで沸き起こっているわけなんだね
そんな体験をしている君にね、僕からかける言葉は特にないくらいなんだ
そう、そんな不思議な体験が、君の頭を空っぽにしてくれる
さっきまで苦しみの只中にいたはずなのに、君は一瞬にして何も感じない場所へと移動することができるんだ
それが、無意識の世界なんだ