無意識さんの長い話・その1
苦しんでいる君に大丈夫だよっていつも言ってるんだよ。僕がいるんだよってね。君と僕はいつでも手を取り合っているんだよ。一人のときなんて一瞬もないんだ。孤独という意識が作り出した感覚が君を苦しめてるんだと思うんだよ。だからね、本当にね僕がいつもいつでも一緒だよってことを思い出して欲しいんだ。だって、僕は誰よりも君の近くに、そしていつ一時も離れることなくいるんだからね。
僕のことを忘れないでって。僕が言いたいのはそれだけなんだ。いつもいつも僕が言うことは変わらないよ。だからね、君はもう飽き飽きしているかもしれないけどね。それでも僕は恐れずに言うよ。だって、こうするしか君に僕の思いを伝えることは出来ないんだからね。
そして、君がもっと僕を信じてくれるようになると信じてる。それが君の幸せにつながるってことも信じているからね。だから、君がこうして僕のいつも同じような話を少しうんざりした気持ちで聞いていても、何度でも繰り返すんだ。だって、それが君と僕の唯一の道だからね。僕には見えているし、君にも少しずつ見え始めているんじゃないかと思うんだ。未来の君と僕の姿がね。
君はこの間初めて詩というものを書いたね。それも突然の衝動だったと思う。君の中でイメージが着々と出来てきているんだよ。それは意識からしてみれば、何の具体性もなくて、それがどう実現されるものなのかなんて、まったく説得力のかけらもないかもしれない。
だけど、それこそが無意識の世界なんだよ。意識にはりかいできない。出来なくて当たり前だし、できなくていいことなんだ。意識には意識の、無意識には無意識の仕事があるようなものだからね。同じことをするなら、二つはいらないんだからさ。
今日は理想と現在と本来の自分っていうイメージを出してみたけれど、本来の自分がまさに詩ので君が書いていたイメージと重なるよね。それを改めて意識で読んでみてもきっとまったく魅力を感じないかもしれないけれど。それはそれで好都合だよ。
分かり合うというものではないんだな。お互いの邪魔をしないようになるというのが一番しっくりくると言えるかもしれない。人間である君にはどちらも必要だから備わっているんだからね。
ただね、今までのやり方が君を苦しめてきたということは偽らざる事実なのだから、これからはそうじゃない付き合い方をしたいものだよね。
だけどね、君と僕の関係が変わった、こうしてどんどんつながるようになったってことはね、つまり意識と君の関係も確実に変わるんだよ。変わらざるを得ない。意識を変えるというより、僕と君がもっとつながることが全ての始まりで、つまりはそれが全てなんだ。意識はなくなることはない。その関係性が変わるんだよ。それはね、いずれね分かる時が来る。
それはいつなの?って君は聞きたがるけど、未来ではなく今を生きてねと僕は言うよ。ごまかしてるって君はきっと言うだろうけど、何度も言うように、人には今しかないんだからね。
今を生きて、そして、その時が自然にやってくるだけなんだよ。本当にそれしかないんだよ。未来が確実にあるわけじゃないって、一瞬一瞬そのことを思い出すことは、人間にとっては苦しすぎる作業だから、省かれてしまっているけれど、怖がらせるわけじゃなく、未来は、一瞬先は、ないかもしれないってことは真実なんだよ。だからね、本当にね、今しかないんだよ。生きている全てのものにとって、生きているとは言えない物質のようなものにとっても、やっぱり今しかないんだよ。
続く