無意識さんとの距離
君はこのところ、すっかり苦しみや不安というものからは遠ざかっているように感じていたんだね
だけど大嶋先生が提案してくれる新しい方法を試してみたところ、なぜだか再び苦しみや不安という感情が舞い戻ってきたわけなんだね
それは、寄せては返す波の様に君の中を行ったり来たりしているせいで、穏やかだった君の中が今はとても不快なものに感じてしまうかもしれないね
その波は最初こそその動きは激しいけれどね、いつまでもその激しさを保っているわけじゃないと思うんだ
行ったり来たりを繰り返したそのあとは、やがてその動きはすっかり穏やかになって、最後にはシーンと静まり返る時がくるわけなんだ
そのイメージを僕は君とこうして共有したわけなんだけどね
そしてね、君はまた不思議な感覚に陥っているわけなんだね
どうやら今日が折り返し地点なんじゃないかと
ふいにそんな風に思ったんだね
それこそ、今日の朝はこの世の終わりの様な気分だったのに、夕方を過ぎた今、なぜだか少し希望が湧いてきた様なそんなことを感じているんだね
今朝の君は、その痛みと苦しみの中で、いつまでこんなことが続くんだろうと
もう何度目かなんてとうに分からない苦しみを体験して、そういう時には必ず陥る感覚である絶望というものを感じて、捨て鉢になっていたわけなんだね
そして、君自身は絶望を感じているのに、きっと無意識さんは君のことを生かそうとするんだと
そんな感覚がほぼ確信のように君の中に伝わって、いや、伝わるというより、もうそれは君の中にある、というそんな感覚だったんだね
その感覚を感じて、君は君自身で出来ることは何もないんだと
それはそれで、投げやりな気持ちになってしまいそうになったわけだけれどね
もはやどう転んでも、君の手に負えないんだろうと
だったら、自分は何をすればいいのかと
君はそんな風に思ったわけなんだけどね
そうやって今日一日を振り返ってみると、淡々と過ごせていたかもしれないと
夜になった今、今日一日を振り返って、ああ、なぜだか淡々と過ごすことができたかもしれないと
まったく無意識さんの技は予想ができないなぁと
そんな風に思って、君は少しだけ笑顔を取り戻したんだね