父と母との関係と無意識さん
今、君は、もう長い間悩まされているその事について、どうしてなんだろうと、結局いつも答えが見つからないその問題について考えを巡らせていたわけなんだね。
それは、もうあまりに長い年月が経っているせいで、色々なことが複雑に絡み合って、もうどこから手を付けたらいいか分からないほどの難問になってしまったんだね
それでも君はやっぱり時々そのことについて深く考えてしまうことがあるんだ
そして、そんな風に思いを巡らしていた君は、つい今しがた、ある事に思い至ったんだね
それは、これまでのものよりも、少しだけ進歩したように感じられたことだったんだね
君の夫はアスペルガーで、そんな夫との関係に君は随分悩まされてきたわけなんだね
そして、その関係性は時が経つとともに変化した
変化はしたけれど、それは一向に楽になるものではなかった
だから、君はあいかわらずそのことについて考える日々を送っているんだね
先程君の中に生まれた思いというものは、こんなものだった
君の原家族の中で、君は母のカウンセラーだった
そういう自覚はあったわけなんだね
そして、表向きは父を尊重する母が実は父を嫌っていることを君は母の父に対する愚痴を聞かされることで思い知っていた
さらには母はいわゆる愛が無い人であったため、君は愛されることなく育ったんだね
そんな母を嫌いながらも、母を愛したいし愛されたいという相反する思いをずっと持って君は育ったというわけなんだね
大嶋先生に出会って、ありがたいことに母に対する感情はほとんどフラットなものになった
だけど、ここに来て、父に対する気持ちというものに気づいたというわけなんだね
母が嫌う父を、君は母と同じように嫌っているつもりだった
だけど、実は君は母に嫌われている父が可哀そうだと思っていたんだ
そして、そんな父を理解してあげたいと
心の奥底でそんなことを思っていたということに、さっき唐突に気づいて、君はこうして僕にそのことを告げに来てくれたというわけなんだね
このお話が複雑なのは、君の父親も今思えばアスペルガーであるということにあるんだね
アスペルガーの父はその特性のせいで、君のことを随分傷つけた
それにもかかわらず、君は母から理解されなかった父親を可哀そうだと、そして助けたいと思っていたというわけなんだね
それに気づいた君だけど、思ったほど動揺するというわけじゃないことに、あらためて驚いているんだね
それは、きっと大嶋先生が与えてくれたものが君の中に浸透しているおかげだと
ただ、そんな風に思ったんだね
この気づきが君に何をもたらすか今はまだ分からないけれど
僕とこうしてそれを分かち合うこと
それで君の心は落ち着きを取り戻すんだね