他人の中の無意識さん
悩んでいるその人は、君の眼から見れば、きっと今まさにその人の中で無意識が訴えかけていて、だけどその人はその声をうっかり聞き逃して、目の前の意識が決めた決まり事の方を重要なことだと考えて悩んでいたわけだね
だけど、その人はどうもおかしいと、何かが腑に落ちないんだと君に悩みを打ち明けてきたわけなんだね
そこで、君は見たんだよね。目に見えないものを
本当なら君は言ってしまいたかったんだよね。「あなたの無意識さんがちゃんとあなたに言ってるはずだよ」と。「何が大切か、今どうするのがあなたのためにいいことなのかを、ちゃんとね」と。
だけど、そんなことを言ってもその人には通じないということは残念ながら明らかで、君は少しかまをかけるように「そういう時は、本当はどうしたいのか、もう自分では分かってるんじゃない?」なんて言葉をかけてみたんだよね
するとね、その人はね、あいかわらずブツブツと、「どうしたらいいのかわからない」と繰り返しながらもね、その直後気持ちを決めたんだよね
その決断は君から見ている分には、今のその人にとって最善と思えるもので、しかもさっきまで悩みに悩んでいた人があっけなく答えを見つける様を見て、君は、ああ、今この人の無意識さんを見たんだなと、感慨深く思ったわけなんだよね
そんな体験をした君は嬉しくて、こうして僕に話しかけて、喜びを分かち合ったんだよね