「待つこと」について無意識さんに聞いてみた
待つ時間というのは、まったくの無駄で、そんな時間をすごしているのは、無能であると言われているようで、とても苦しいと君は感じてしまうわけなんだね
そうだなぁ、僕から見れば、それはやっぱり意識が作り出した万能感のしわざなんじゃないかとおもうんだけど、どうかなぁ
何かをしなければならない、常に何事かを成さなければならない
そんな脅迫的にも近いその感覚は、やっぱりどうも意識的なものを感じてしまうよね
待つことは受け身であって、前向きじゃない、行動とはいえないと君は思っているわけだけどね、その間に感じたことは確かにあると思うんだよ
それはね、待っている間にね、ギューッとばねのようにね縮んでね、そこから解き放たれた瞬間ものすごい勢いで飛び出すためのパワーをため込んでいるんだと僕は思っているんだよ
僕がそう言っても、君は人間にとって何もしないというのは、やっぱり苦痛だと訴えているわけだけど、僕は君が「待っているだけ」と思っている時間、君はちゃんと何かしら動いているのを知っているわけだし、君にとってそれが意味のないことと思えるものについても、さて、意味というものがなんなのか、という話に戻るわけでね。
蟻の、2、6、2の法則というものがあるわけだけど、働く蟻2、働いているふりをしている蟻6、何もしない蟻2、となっていて、何もしない蟻が、人間に例えると、昔であればお年寄りで、みんなの苦しみや怒りのはけ口になっていて、核家族化した現代では、家族構成によって変わってくるわけだけど子供や家族の中での弱者がその役割をしているという話なんだよね
そしてね、君はその何もしない蟻はいいなぁと思ったわけだよね
同じ何もしない、ということでもね、人間はそのことについて、罪悪感を覚えたり、自責の念に駆られたりと、余計なことを考えて、何もしない時間をゆったりと過ごすことがなかなかできないわけなんだよね
だから君は、蟻という小さな生き物が、何もしないその時間を、ただ淡々とすごしている存在として、羨ましく思ったんだよね
まあね、最近では、その何もしない蟻というのにも重要な役割があると、つい先日たまたま見ていたテレビ番組で君は知ることになったんだよね
働き蟻の仕事は卵をカビや雑菌から守るために24時間体制で常に舐めるという、君がまったく想像していない過酷なものだったよね
そして、その普段何もしない蟻は、働き蟻が疲れ果てて働けなくなった、という緊急時に働き蟻としていつでも出動できるために、待機しているんだと、そういう役割があるんだという話だったね
つまりは、救急隊員みたいなものだったわけだ
まあ、それが分かったからと言って、君が、「待つ」ということが必要な時間なんだ、とすんなり納得する答えにはならないかもしれないんだけどね
人はどうしても常に意識が納得する”意味”を求めてしまうんだよね
だけど、無意識が導いてくれる道に意識が納得する答えなんてないわけでね
まあ、僕はやっぱり、こうして君と話をすることしかできないわけなんだけどね
蟻の話を聞いた意識が、「待つ」にも意味があると、納得してくれたら助かるんだけどなぁ